きもちわるい赤ちゃん

人生の節目節目で忘れたくない気持ちをメモ

2022.1.5

正直ずっとこのこと書くことに対して抵抗あって自問自答してるけどその葛藤も含めて自分の中でいろんな感情が渦巻いた数日間だったからまとめておく。

 


一月二日、母方の祖母が亡くなった。数えで81歳。物心ついてから身内の不幸は初めてだったのですごく戸惑っている。倫理で習った冠婚葬祭避けた方がいい日、みたいな日を避けて今日一月五日、祖母のお通夜が終わった。

 


おばあちゃんを看取った後くたくたになって帰ってきた母親にこう聞かれた。「お通夜だけにする?葬式だけでもいいけど」

一週間後に共通テストを受ける私を気遣ってのことだったらしい。結局私はお通夜だけ行くことになった。あ、そんな感じなんだ、って思った。身内が亡くなったらお通夜行ってお葬式行って暫くは何もせず喪に服すのが当たり前だと思ってたし、幼稚園の頃にひいばあちゃんが亡くなった時も小学校中学年ぐらいの時にひいじいちゃんが亡くなった時も当たり前によく理解せぬまま二日ぐらいお休みした記憶があるのでそういうもんなんだ、って思っていた。けど身内の不幸で学校休んでる人って中学とか高校入ってから見たことないから(そりゃ教えてくれへんやろし)ずっと不思議に思っててんけど、それって親がおらんと何もできない子供だから連れていかれてただけで、娘でも配偶者でもない私は別に行っても行かなくてもいい存在だったんかもってちょっと思ってしまって寂しかった。

 


朝から夕方まで塾でなんとなく勉強した後、電車に乗って斎場に行った。斎場にはもう親戚全員集まっていた。

お父さんの会社から届いた電報がなぜかおばあちゃんが死んだのにおじいちゃんが死んだことになっていたっぽくて最悪だった。葬儀場の人に確認されて、やべ!って感じで全力でお母さんがなかったことにしようとしていた。

ほぼ会ったことのない親戚のおじちゃんに「ちっちゃかったころはずっと俺の膝に乗って遊んでたんやで」って言われてピンときてないままに大人のように愛想笑いをする弟が少し切なかった。そりゃもう中3だし大人みたいな立ち居振る舞いできるのも当たり前なんだろうけど弟はいつまでも無邪気な子供でいると過信していた。そんな顔がもうできるようになっていたなんて知らなかった、いや、気づかないふりをしていただけかもしれない。だからお焼香の時、「俺はよくわからへんから姉ちゃんが先に行ってくれ」みたいな目配せをしてくれたこと、私もお焼香の仕方よくわからないままになんとなく、めちゃくちゃ早いスピードで終わらしてしまったような気がするけど、私とほぼ同じような尺で私を見習ってお焼香した弟が少し嬉しかった。私はまだ弟のお姉ちゃんとして威厳をちゃんと保てているかもって思った。

 


おじいちゃんが「喪主の方」と呼ばれることが言いようもなく悲しかった。おじいちゃん、こんな早く「喪主」になっちゃうんだ、って。悲しいに決まっているけど悲しいのか悲しくないのかよくわかんない顔をずっとしていて、それが私の中での悲哀感を更に増していた。

 


お寺さんのお経が終わり、少しお話をされた。生前のおばあちゃんと親交があったらしく、おばあちゃんの名前も交えたエピソードを話してくれた。おばあちゃんの生前の意志、そしておじいちゃんの意志で戒名はおばあちゃんの名前そのままらしい。いいな。おばあちゃんは本当に周りからすごい信頼されてたんだなって思った。

 


明日のお葬式に行けない私はおばあちゃんの顔を見られるのが今日で最後になる。最後なんやからいっぱい顔見て伝えたいこと伝えとき!みんなに言われておばあちゃんの遺体の前に立つ。勉強頑張るから安心してね。言おうとしたら涙が止まらなくなった。誰も他には泣いていなかった。たぶんみんなすごく我慢してた。80年間生きたおばあちゃんのうちのたった18年間しか知らない私がこんなに泣いていいのかなって思った。おばあちゃんはもう戻ってこない。痩けた頬を見て実感する。家に行く度に「すずちゃん」って出迎えてくれるおばあちゃんはもういないんだ。正直年末ぐらいから入院してて家族LINEにもおばあちゃんの病状とかはずっと送られてきてたしそろそろなんだなって心構えはしていたけれどやはり寂しいものは寂しい。

 


生前、通知表が出た時におばあちゃんのところに見せに行ったら「よくがんばったね」って言いながら見せ賃と言ってポチ袋に入れた五百円をくれた。二学期が終わって高校生活でほぼ最後の通知表を貰ったとき、入院してたおばあちゃんのところに見せに行ってよってお母さんに言って通知表を持って行ってもらった。お母さんは「もうおばあちゃんは意識もないから持っていっても意味ないで」って言われたけどそういうことじゃなかった。五百円なんていらなかった。中学の頃はそこそこ成績優秀だった私は「すずちゃんすごいね、お母さんとかこんな成績とってなかったよ」とかいっぱい褒めてくれた。高校に入ってからなんとなくダレ始めて成績が著しく下がっても変わりなく「すずちゃんは国語がすごいね」といいところを褒めてくれた。高3になって気持ち切り替えて勉強して今すごく成績も良くなったんだよ。学年順位も150位ぐらい上がったんだよ。伝えたかった。そして大学の合格通知も見せたかったけど叶わなかった。

 


親がいなくなるって考えただけで無理だ。ちょっと前からおばあちゃんのことでずっとバタバタしてるお母さんに、受験のこととか彼氏のこととかめちゃくちゃ相談して頼りまくってしまっててすごく申し訳なかった。私もう18歳だしこの4月から法的にも成人なのにほんとに親がいなきゃ何にもできないことをこのしばらくの期間でものすごく実感した。自立しなきゃなってほんとに思います。親孝行します。この決意を忘れないようにする。